京都フォトログ

古都で過ごす日々の記録。季節の花や歳時を撮り歩きます。

庭園10.5 微妙に雪の桂離宮 四季の茶室

昨日の記事に雪の写真も載せると重すぎるだろうと、

使うのを見送った微妙に雪の残った桂離宮の写真です。

remist.hatenablog.jp

 

前日に”明日は雪になるでしょう”と予測されたので、

京都御苑宮内庁京都事務所に行き、

窓口で「明日、桂離宮に空きありませんか?」と飛び込み予約。

 

無事に予約が取れたものの…雪は積もりませんでした!

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屋根や芝に薄っすらとね…

 

そんな冬枯れの桂離宮の風景です。

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御幸道:いつもより霰こぼしの溝が目立つかな?

ちなみに参観スタートは向こうの橋の方で、

これは最後尾から振り返って撮っています。

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御幸門:薄っすら雪化粧

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外待合の二重枡形手水鉢:氷が張ってその上に雪が残っています。

月波楼には鎌形の手水鉢があり、

稲を収穫する鎌と収穫量を量る枡だと考えると面白いとパンフレットに。

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ソテツ山:すっかり冬の装い

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州浜:朝一の冬の参観は空気が澄んでいる気がします

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松琴亭:「冬の茶室」と呼ばれます。

桂離宮に現存する4つ茶室はそれぞれ四季の月見に適した茶室で、

中秋の名月を中心に月の出の方位や経路を計算した上で建てられており、

庭園全体もその受け持つ四季に合わせて何となく分かれています。

 

松琴亭は長炉で料理を温めたり、「暖」を強化した茶室で、

ここに来るまでに紅葉…旧暦で考えれば「冬」の植栽となっています。

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前回は写真が多いので写真すら省いた松琴亭の水屋と竃。

軒下の欄間や違棚下の下地窓がひょうたん形だったり、色々見るところもありますが、

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「松琴亭」という名前は「拾遺和歌集」の斎宮女御三十六歌仙)の歌から来ています。

『琴の音に 峰の松風かよふらし いづれのをより しらべそめけむ』

”松風の音は琴の音と似通うらしい”という歌で、

斎宮女御自身も琴の名手だったといいます。

 

また桂離宮源氏物語光源氏の別邸「桂殿」のモデルである

藤原道長の「桂山荘」があった所で、

桂殿の出てくる第18帖を「松風」といいます。

その中にも斎宮女御の歌に掛けた歌も出てきます。

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そういえば、うちのタイトル背景画像は

この日に松琴亭前から撮った擬似パノラマ写真です。

平行移動で撮った写真3枚ほど繋げました。

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この日も渋滞の賞花亭は「春の茶屋」です。

最近は見学に不便と、のれんを外しているようですが、

「峠の茶屋」ならのれんはあった方が好きかな。

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水輪を転用した手水鉢は「棗」の形とも言われていて、

新茶に因んだとも説明されています。

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冬は紅葉が散り、全景が見渡しやすくなっています。

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園林堂の飛び石

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「夏の茶室」笑意軒

窓の向こうの水田に田植えをし、伸びた稲穂が揺れる様を見て

風を視覚的にも感じられるのどかな茶室です。

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賞花亭(春)や笑意軒(夏)のある庭園の西側の方は、

梅や桜の馬場があり暖かくなってきた頃の植栽メインに変わっています。

こうして月の経路に合わせて配置した茶室だけではなく、

庭園全体としてもその季節の茶室に合わせています。

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写真では分かりにくいですが、

冬枯れ時期なら新御殿から古書院までの雁行が見やすいです。

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いつもと逆方向から月見台

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「秋の茶室」月波楼

「月波楼」の名は白楽天が西湖で詠んだ『月点波心一顆珠』から来ており、

”月は湖面に映る 一粒の真珠のように”みたいな意味です。

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湖面に映る月を楽しむために船形天井で、

あえて柱や手すりを設置し屋形船を演出しています。

これまでの心配りからして、

こんな所に邪魔な柱を残す訳が無いという事ですね。

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前回載せましたが、こんな天井です。

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「秋」の刈り入れ「鎌形手水鉢」

「晩秋(冬)」に収穫を量る「枡形手水鉢」と対をなしていると考えられています。

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あちらが「冬」

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古書院の丸みを帯びた屋根が綺麗に真っ白です。

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雪の朝一の参観は気持ち良かったです。(待ち時間は寒いです)

 

おまけ

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前回の最後にも貼ったこの写真

「穂垣」を良く見てもらえば、横に編んでいる竹の小枝の節も綺麗に揃えています。

気づかれないような細部まで手の込んだ仕事を見ていってください。

 

そして道の向こうに立つオレンジの物。

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桂川の氾濫を防ぐための堤防に設置され、

離宮内庭園池に引き水するために利用されていたもの』です。

 

こういった樋門や桂垣、書院群の高床な作りなどがあって、

よく氾濫する川の横にありながら400年間その姿を留めている訳ですね。

(低い位置の茶室などは床上1.5mくらいまで浸水…ほぼ水没?したようですが)