京都フォトログ

古都で過ごす日々の記録。季節の花や歳時を撮り歩きます。

庭園9 修学院離宮 後水尾天皇の理想を体現した山荘

今回は修学院離宮を紹介します。

仙洞御所が後水尾天皇の為に小堀遠州によって造営された御所であるのに対し、

修学院離宮後水尾上皇本人が自らの理想を形にした庭園になります。

仙洞御所も後水尾上皇が改修したので、

池の雰囲気は似ているかもしれません。

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修学院離宮とは?

後水尾上皇の指示で造営された離宮です。

離宮とは皇居以外に設けられた天皇上皇の別邸の事です。

 

仙洞御所・桂離宮修学院離宮の関係者たち

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(107代)後陽成天皇は弟の八条宮智仁(としひと)親王に譲位したかったのですが、

智仁親王豊臣秀吉猶子(ゆうし)(養子みたいなもの)なので徳川幕府の反対に遭い、

家康の意向で第三皇子政仁(ことひと)親王が(108代)後水尾天皇と成ります。

この時点で力関係が既に家康>天皇家

 

権力を持った徳川幕府により天皇の権威をないがしろにした事件が立て続き、

腹に据えかねた後水尾天皇は、

1629年に次女の興子内親王明正天皇)に譲位し風雅な生活で気持ちを慰める(趣味に生きる感じになります。

 

後水尾天皇が怒った理由のひとつに仙洞御所もあり、

まだ31歳の天皇に対し退位を迫るかのように、

隠居所である仙洞御所(1627年完成)を作った事。

それ以外の事も重なり、1629年にいきなり譲位する事になります。

 

八条宮智仁が亡くなった時、息子の智忠は10歳だったので10年ほど放置、

桂離宮は完成まで50年くらい掛かっています。

直接関係無いので図には書いてませんが、

八条宮智忠は後水尾天皇の猶子になります。

修学院離宮参観

注意:参観コースは約3km・1時間10分~30分程あり、

急な石段を登っていく箇所もあります。

 

 下御茶屋

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御幸門を通って、

まずは下御茶屋の「寿月観」の玄関「御輿寄」

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 下離宮の建物は寿月観しか残っていません。

かつては「蔵六庵」と楼建築の「彎曲閣」があったそうです。

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杮葺入母屋数奇屋風造り

上段があるのが一の間で、「寿月観」の扁額は後水尾院の宸筆

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華美なものは無く簡素な造りですが、襖絵は岸駒の「虎渓三笑」で、

三人の賢者が話に夢中になって、目的の渓谷を通り過ぎ、

遠くから聞こえる虎の鳴き声で気づき大笑いという楽しく明るい絵。

脇床には琵琶が置かれた由来から「琵琶床」と呼ばれています。

ここでは伸びやかに過ごされていたのでしょう。

 

天袋に鶴、地袋は「岩に蘭」でどちらも原在中の筆です。

欄間は御幸門と同じく花菱紋様の透かしです。

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寿月観に沿って遣水が流れ池を作り、

袖形灯篭や朝鮮灯篭など個性的な灯篭が配されている

池泉観賞式庭園です。

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松並木で両側を目隠しされた道を通り、中御茶屋に向かいます。
松は高くなりすぎないように高さを揃えていますが、

大きくなったものは京都御所などに移すそうです。

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下・中・上御茶屋を「御馬車道」と呼ばれる松並木で結び、

その間の田んぼは景観保持のため離宮の土地となっています。

近隣農家に管理を任せていますが、

勝手に畑にしない、ビニールハウスを建てないとか

細かな決まりがあるようでした。

 

御茶屋

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前庭

 中御茶屋ですが、工事中だったので天下の三棚のひとつ「霞棚」の

写真がありません。

予約しやすくなったので、そのうち行くとは思いますが、

庭園を構成する一部として建物に触れる事はあっても、

その詳細はあまり期待しないで下さい。

あくまでも庭園がメインなので。

ちなみに天下三棚のあと2つは、

桂離宮の「桂棚」と醍醐寺三宝院奥宸殿の「醍醐棚」で、

共に非公開です。

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工事現場眺めてほぼスルーで上御茶屋に向かいます。

工事中で見られないのは知っていましたが、

一眼手に入れたので、取り合えず紅葉の時期に予約取りたかった。

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松の前を通って、工事現場の横を通って出て行っただけ(笑)

 

御茶屋

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再び松並木の経路を通って上御茶屋へ。

この大刈込の石段を上がれば、

修学院離宮の中でも最高の眺望が開けます。

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これぞ後水尾院がやりたかった眺望+池の庭園

 

修学院離宮の前に幡枝離宮(現・圓通寺)という、

比叡山を借景とした離宮を造りました。

約12年間良い場所を探して建てた幡枝離宮ですが、

広い池が造れ無いのが不満。

そして、新たに作ったのがこの修学院離宮です。

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(現在左上の建物「隣雲亭」にいます。)

隣雲亭は展望を目的とした簡素な建物で、

たたきには「一二三石(ひふみいし)」が埋め込まれています。

黒いのが加茂石で赤いのが鞍馬石だそうです。

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一二三石は一心三観を表し、空観(くうがん)、仮観(けがん)、中観(ちゅうがん)が白い漆喰で一心一まとまりになり、三観の真の見方となる。

修学院離宮雄大な景色を眺める上での心得みたいなものですかね?

 

森がある。しかし、森は本当に存在するのだろうか?

目の前にあるのは木が沢山あるだけだ。

みたいな、存在するけど存在しない物の見方に対し、

いや、木が沢山あるのが森なんだから、

たとえ森というものが存在しなくても受け入れようじゃないか。

みたいな見方の話?

 

で、結局この雄大な景色を一心だとして、

どう眺めればいいのかは知りません。

”わー、凄い!来て良かった!”でいいと思います。

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ここの欄間も花菱紋でした。

 

移動開始。

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今度は降りて行きます。

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上に続く石段もありますが、

下りて行くので参観コースではありません。

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「雄滝」この距離では分かりませんが、落差6mとか。

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比叡山からの流れを堰き止めて作った人工池「浴龍池」

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「千歳橋」19世紀前半に京都所司代から献上された中国風の橋です。

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「窮邃亭(きゅうすいてい)」余計な飾りは全く無く、

ただ池を眺めるために作られた茶亭。

後水尾上皇創建当初から残る唯一の建物です。

 

窓を開けていると猿が入って荒らし、

鹿や猪は植栽を荒らし、文化財維持は自然との闘いだそうです。

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窮邃亭の位置から見た千歳橋

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日本一長いとも言われる土橋

なだらかな弧を描いています。

 

向こうの屋根は「窮邃亭」です。

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歩く度に表情を変える汀

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舟着場

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土橋を横から

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コース外の千歳橋と中島

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もうすぐコース終了。

振り返って1枚。

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横を向いて1枚。

高いところにある屋根が窮邃亭

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正面を1枚。

大刈込の左に滝からの水が流れ込んでいます。

 

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また松並木を通って戻り参観終了ですが、

池に向かって1枚。

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池を掘りその土で大堰堤(おおいつつみ)を造りましたが、

その根元は三段の生垣で隠し、そこから大刈込へと自然と繋がる事で

不自然さの無いデザインになっています。

 

拝観情報

申し込み予約詳細は公式サイト参照

宮内庁参観案内:施設情報:修学院離宮

 

窓口予約は京都御苑宮内庁京都事務所へ!

当日申し込みは修学院離宮現地で11時から先着順です。

当日枠は13:30と15:00の午後枠のみです。

参観料:無料

休日:月曜日(休日なら火曜日に振り替え)

   年末年始や行事のある日

アクセス:叡山電鉄 修学院駅から徒歩20分

     市バス 修学院離宮道から徒歩15分

徒歩なら参観で3km+往復で2kmの5km程歩くことになります。